これから認証取得を目指している組織、既に認証を取得している組織でも社員へのISOマネジメントシステムの理解をしてもらい、業務を遂行してもらう事が必要です。特に入社したばかりの社員に対する教育研修でお悩みの担当者、経営者の皆さんに少しでもお役に立つ取り組みを紹介します。
マネジメントシステムのマニュアルだけ読み合わせしても理解できない
複数のマネジメントシステムの認証取得をしている建設業の組織から、社内で統合したマネジメントシステムのマニュアルを読み合わせをして理解を深めようと研修を行っているが、社員からは何でこのような内容になっているのか、又は文章もわかりずらい 等とあまり効果が出ていない事に担当者は悩んでいました。
そこで弊社で提案したのは、ISOマネジメントシステムの規格要求事項とマニュアルを照合しながら研修を実施することでした。その組織では、規格要求事項の説明は行っていませんでした。
弊社では、テキストを作成し、規格要求事項の「序文」からその規格の目的や意図する事を伝える事と、規格要求事項の項番とマニュアルとの項番の関係、規格要求事項の文面にある「~しなければならない」に対してマニュアルではその要求事項の文面に対応した取り組みを書いている事、主にその3点に注力して進めました。
これだけで、ISOマネジメントシステムの規格要求事項やマニュアルの内容を全て理解する事は難しいですが、ベースにある規格の目的と意図についてと、規格とマニュアルとの関係性についての理解は深まったことは、アンケートから確認できました。例えば、「マニュアルの構成や文面がなぜこのようになっているのかがわかりました。」という意見を参加者の約6割程度からいただく事ができました。
規格要求事項で使われている用語の意味を知ることが理解を深めるきっかけとなる
ISOマネジメントシステムの理解を深めるのに欠かせないのが、日常業務との関連です。いかに業務と密接に関わり、仕事に取り込んでいることに気付いてもらうかです。
弊社では、その研修に際に用語の解説を用いて日常の業務と比較してもらいながら進めています。
例えば、規格要求事項では、「パフォーマンス評価」の要求があります。そこで「パフォーマンス」とは何か、「測定可能な結果」です。品質目標を始め測定可能な指標でないと評価が出来ない事を伝えます。(ISO9000:2015 品質マネジメントシステムー基本及び用語)
もう一つは、ISO9001:品質マネジメントシステムの基本である「プロセスアプローチ」についてです。その中にある「プロセス」とは何か、それは「インプットを使用して意図した結果を生み出す,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動」です。(ISO9000:2015 品質マネジメントシステムー基本及び用語)
プロセスには、まずインプットされた情報や物があり、それを自分が担当している仕事を通して、アウトプットを生み出していきます。それが製造した成果物であったり、報告書であったりします。それを図で示して、様々なプロセスを経て製品やサービスを提供する事を確認します。
同時に製品やサービスを提供する上で、プロセスごとにインプットとアウトプットがあり、Aというプロセスのアウトプットが次のBというプロセスのインプットになることに気付きます。
このような視点でこれまで仕事をしてこなかった社員の皆さんにとっては新たな発見でした。「自分のその業務で実施した事が次のプロセスで活用され、複数のプロセスが連続して製品・サービスが提供されている事を認識する事ができた」という意見を参加者のアンケートの5割程度から確認する事ができました。
要求事項やマニュアルで使用されている「用語」。それらの「用語」の意味を知らずして、規格要求事項やマニュアルに文章を理解は出来ないと思います。それを理解した上で、自分の業務に当てはめて考えてみる。そのような観点でマネジメントシステムの理解を深める研修を実施してみませんか?
このような研修は、ISOマネジメントシステムというツールを通しての仕事に対する考え方、物事を前に進める方法を学ぶ機会となります。是非このような機会を創り、社員の育成を継続することで、成長に寄与する取り組みになります。是非ご相談いただければと思います。