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マネジメントシステムを見直すにあたっての2つの取り組みとは

2024年4月29日ISO

ここ数年多くなってきているのは、マネジメントシステムを作り直して運用を改めるための要望です。これは組織によってさまざまですが、長年勤めていた担当者の交代、単体で取得していたマネジメントシステムを統合のため、適用範囲の見直し、認証を取得してから年数が経っていることから何かしらの齟齬が出てきていたり、認証取得以降に入社した社員が大半を占めるようになり、マネジメントシステムについて教育をしたい 等、抱えてきたものについて、対応をしなくてはいけない状況となっているようです。

そこで今回は、このような時に何を行ってきたのかをお伝えし、社員の理解を促進し、成果を上げるためにお役に立てればと思います。 

マネジメントシステムについての教育を行っているのか

これは、そもそもの話しです。マネジメントシステムの認証を取得した殆どの組織は社員に対してマネジメントシステム関連の教育を行っていません。担当業務の教育と同等の重要性があります。なぜなら、組織の目的、価値観、仕組み、制度について時間を割いて実施するという発想すらないといえます。

特に中小企業は、そこまで人数や時間を割く余裕がない、これが組織の持続可能性に密接に関わるとは思ってもいない、ISOマネジメントシステムは審査対応をするのが目的だと無意識に進めている 等、いろいろな事が背景として考えられますが、持続可能な組織となるためにも、是非、教育訓練プログラムに組み込んでください。

中小企業は、大半が個人個人で業務を進めている個人商店的な運用となっています。でもマネジメントシステムを取り入れることは、組織になると周知することから始まります。

そして、組織にするため、情報共有と意思疎通がとれるようにしないといけません。その当たり前のことが伝わっていないと、それぞれの運用の目的が理解されないまま動いてしまいます。そうなると、使われている文書や取られている記録の意図もわからず、皆が同じ方向を向いて仕事をしなくなる恐れがあります。

この間も、新入社員(中途の年配社員が大半を占めた)向けに、このような事柄を含めた統合マネジメントシステムの研修を座学だけでなく、グループワークを交えて行いました。最後に、何が理解できたのか、どこが理解できなかったのかを書いて出してもらい、その内容を次回以降の研修に活かしていきました。ただ、この手の内容は、1回程度で理解をしてもらうのはなかなかハードルが高いです。

そのためにも、日常の業務を通して上司から教えていただきながら理解を深める取り組みが必要です。組織になっていくため、日常の仕事を通して、マネジメントシステムの要素を伝えることで、なんでこの文書があるのか、この取られたデータはその後に何に活用されるのか、そのような教育を管理職の皆さんに行っていただいています。

現状のマネジメントの運用は目的の実現に適切か

前回のブログで、始めに組織の目指す姿を話し合ってくださいと書きました。その目指す姿が言語化されていることを前提として、それをマネジメントシステムの「意図した成果」として、その実現のための課題や利害関係者の要求、それを踏まえてのリスク(脅威)や機会が組織内で共有され、目標の設定も課題の解決やリスクへの備えからの視点で適切なものとなっているか確認します。

殆どの組織では、マネジメントシステムの要求事項の4.1「組織の状況」の取り組みがアウトプットされていないか、されていたとしても一部の人にしかわからない運用になっています。これでは、組織全体でマネジメントシステムを有効に運用しているとは言えません。従業員の皆さんがあまり知らないというの組織として機能しません。

当社では、「意図した成果」を言語化することから始めます。途中で表現が変わってきても構いません。自分たちで腑に落ちる表現にしていくことで自分事になっていきます。そして、意図した成果の実現のための課題や利害関係者の要求、リスクと機会を特定し、それらをSWOT分析の手法を始めとして複数の手法を使ってまとめていきます。ただ、階層ごとで課題やリスクは異なってきます。このような時には、階層ごとのアウトプットも示して、組織の現状をなるべく正確に示していきます。

その後は、上記の事柄を克服するための組織の成長につながる目標の設定と達成計画の策定に入っていきます。そこで検討しないといけないのは、設定している目標がその意図した成果の実現に妥当であるかどうかです。よくあるのは、「クレーム0」、「労災0」、「売上目標の達成」、建設業であれば「工事評価点〇点以上」 等です。

このような目標の設定と達成計画の中身が本当に組織の成果を上げるための効果的なPDCAサイクルの運用となっているか、そこを問います。

どうでしょうか?大半は有効な運用になっていないと思います。

それは、そのような目標の設定と達成計画でも組織の事業にさほど影響がない運用になっているからだと思います。真の意味で活用していない残念な運用となっています。これは、そんなに努力をせずに受注が容易な時であればまだしも、受注が厳しい状況となったさいには致命的になります。

弊社では、この目標の設定と達成計画の中身と運用については、必ず確認して必要な範疇で見直しをします。ここでの有効な運用の前提となるのは、「意図した成果」実現のために必要なデータがどこにあり、そしてどれだけ集められるかです。その状況を全社の開示し、必要な意思疎通ができるための支援をします。

次回は、上記の取り組みとそれ以降の展開について話しをしていきます。

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