先日、大手カレーチェーンの食品廃棄物が産廃業者によって横流しされ、一回解凍されたものが再度冷凍されスーパーの店頭で販売されていたことが発覚した驚愕の事実はかなりのインパクトがありました。その後の調査でこの商品だけでなくかなりの種類の食品廃棄物についても同様なことがありました。あってはいけないことが起きてしまったのです。
当然、その産廃業者はマニフェストの虚偽記載をした廃掃法違反や食品衛生法違反等で捜査が続いており、それに対して排出事業者はマニフェストの発行を始め、廃棄物処理場での現場確認もしており、法令・規制要求事項を順守していました。ただ、その後の調査で、排出の際に梱包をそのままにして横流しをされても仕方がない形態で業者に引き渡しをしていたのがわかりました。
2月1日のNHKのクローズアップ現代では、今回のような横流しを防ぐために産廃事業者に引き渡す前に製品を梱包から取り除く作業を行っている食品メーカーが紹介されていました。このメーカーは、予めその横流しのリスクを特定して取り組んでおり、会社を守るためにしっかりとやるべきことが行われていました。この大手カレーチェーンのように法令・規制要求事項を順守しても会社のイメージや姿勢について信頼の失墜につながりかねない状況を招く事例なのだと思います。その後の報道でも一般廃棄物の処理も産業廃棄物処理業者に処理をしたことも発覚し、法規制の内容を理解しないままに業務が行われていました。この企業以外にも大手の企業が法規制を順守しない事例は報道されています。場合によっては事業停止になるリスクを孕んでおり、まず企業はこのことに最優先に取り組む必要があります。
話しは変わりますが、食品廃棄物は、2013年に1927万トン廃棄されています。背景として小売店の需要見込みが外れてしまうことやメーカー側の過剰生産等が上げられますが、まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」は推計で642万トン(2012年度)で約半分の312万トンが家庭から排出されているとのことです。また、食品リサイクル率では、食品製造業が95%、食品小売業では45%、外食産業では25%となっており、川下にいくほどリサイクルが進んでいない現状がここに現れています。
気象データに基づく需要予測を行い食品ロスを減らすことや、食品小売業界では食品ロスの基準を見直しをして低減すること等の取組みは進んでいます。
ただ、消費者の安全についての懸念を恐れ、食品ロスの基準を厳しくすると食品廃棄物が増えてしまうジレンマがあります。今回の横流しの件も、この食品のロスの件も業界側も消費者としっかり向き合って合意形成をしていく必要があると感じます。容易なことではありませんが、食の安全と廃棄物のロスを減らす取組みとバランスをとっていかにムダなことをなくしていくか社会全体が問われていると思います。
(株)インフィニット 櫻田
mobile 090-3647-9721
e-mail i-sakurada@ms-infinite.jp