ハイキュー!!は“敗者”にも光を当てる
『ハイキュー!!』は、勝者だけでなく、敗者にも焦点を当てて、その事実と想いを丁寧に描いている。
ファーストシーズンの第16話「勝者と敗者」では、インターハイ予選で負けたチームの選手たちをみて、その悔しさと後悔を思い出してしまった。
試合後に、「もっと練習をしておけばよかった」「もっと話しておけばよかった」「あの時どうしてもっとできなかったのか」そんな言葉が、深く胸に刺さる。
負けた時は、そればっかりだったなあと。その時は悔しさよりも「何もできなかった自分」への情けなさ、不甲斐なさだけが残った。
そんな中途半端な自分に、その「もっと」が自分を変えたいと強く願う原動力になったと思う。
その後の人生も失敗の連続であったが、その失敗を糧にすこしずつ前に進むことができた。
敗北は終わりからの始まり
『ハイキュー!!』が描く敗者の姿は、組織や個人の成長に必要な視点を与えてくれる。
何があっても勝とうとする意思を持ち続けられるか。
諦めようとする弱さを乗り越えられるか。
それを問いかけてくる。
負けた後、「確かに試合をしていた」「バレーボールをやっていた」――その事実をただ嘆いて終わるのか。
それとも、「このまま立ち止まっていられない」と前を向こうとするのか。 敗北のあと、チームや個人が嘆いたり落ち込んだりする時間は、決して無駄ではない。
しかし、そこに留まり続けるのではなく、組織が敗北を受け入れ、立ち直る意思を持ち、選手・指導者・スタッフそれぞれが「何を変えたいか」を振り返ることが必要だ。
敗北からの学びを成長のエンジンに変える
組織においても、プロジェクトの失敗や目標未達は“敗北”といえる。
戦力差は簡単には埋まらない。相手も進化する。 それを見越して、何を強化するのか。どこを改善するのか。
そこから、チームの成長がリスタートする。
それは、個人の気づきをチームの学びに変える仕組みだ。
そんなリフレクション(内省)と対話の文化を、組織の中に育てていきたい。
悔しさを抱えながらも、前を向く選手たちの姿は、組織における“強さ”とは何かを問い直してくれる。
敗北は痛みを伴うが、その痛みがあるからこそ、次に進む力が生まれる。
そしてその力は、個人だけでなく、チームや組織全体を前に進める成長のエンジンとなる。
このコラムでは、そんな敗者の視点も交えながら、組織やチームの在り方を考えていきたい。
強くない、どこにでもある組織が、どうしたら強くなれるのか。
その問いを、組織づくりに悩む人たちに届けたい。