株式会社インフィニット 宮城県仙台市のISO・組織開発の会社|社員を決めつけず、成長を支援するには

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社員を決めつけず、成長を支援するには

2021年4月08日ISO

 社内でのコミュニケーションが必要最低限にしか取られていない、もしくは面談をしても意思疎通をもっとしないといけないと実感し、社員が成長しないとこれからの組織運営に危機感を持っている、経営者、管理者の皆さんと考えていきます。

組織内で社員に対する固定観念を変えようとすることができるか?

 人数や部署も多い大手企業に対して、中小企業では組織内の異動は殆どなく、役割も固定化しているケースが多いと思います。仮にある社員が組織で求められていることが出来ていない場合、その社員にはレッテルのようなものが貼られていることが多く、一度作られたその人の見方はなかなか変えられません。

 でも中小企業では、当然そのような人についても戦力となって組織に貢献して欲しいと思っています。そのためにも、業務上での助言、客観的な視点で意見をする、励ましたり褒めたり、時には毅然として言うべき事を話す、注意をする等、様々な対応が経営者や中間管理職には求められてきます。

 私は、今までのコンサルや審査を通じて、自然に染みついた事があります。それは、「人を決めつけない」ということです。これは、プロジェクトや業務を進めていく上で、この人はこういう人だと決めつけてしまうと、それ以上の事を望まなくなり、物事を頼むこともしなくなり、能力を発揮する機会を失ってしまうことがあるからです。

 このようなことは、その人の成長の機会を奪い、プロジェクトや業務を進める上でプラスにはなりません。とは言え、部門にはベテランから若手までさまざまな世代がいて、いままで経験して培ってきたことや個性も異なる方々の集合体で、年上の部下も配属されているケースでは接し方に苦労したりと、なかなか中間管理職側の思惑通りにはいかず、一筋縄ではいかないのも事実だと思います。

社員に貢献を意識させ、成長を促す2つの取り組み

(1)理念、ビジョンを基準に接してみる

 そこで一つ目の提案があります。中小企業において、理念やビジョン等を制定するところも多くなってきています。まず、この理念や経営方針を基準に接することです。理念や方針を理解して、行動しているかどうかをよく見て話し合いをすることです。

 例えば、規定時間内で成果を達成することで生産性を上げようという方針を立てている企業があるとします。そこで対象となる社員が残業時間が多いのですが、目標に対しては常に達成状況にあるというケースです。上司は、その社員の残業が多い仕事ぶりについて以前から改善するように促していましたが、なかなか残業時間が減りません。当人は目標を達成しているので問題はないだろうという姿勢で改善への取り組みには消極的です。

 上司はそのような場合には、会社の方針に関連して、残業の削減に取り組むことがなぜ必要なのかを粘り強く説明し、相手に理解させなければいけません。当然、目標が達成できても、会社の方針と異なっているので、評価が上がらないことをはっきりと話すことです。

 この事は、これまでの仕事に関する価値観を大幅に変えていかなければならず、それを納得させるのは並み大抵ではありません。上司からの一方的な話しだけでは納得しない事も出てきます。自分だけの仕事の仕方だけでなく、顧客との付き合い方や同じ部署のメンバーとの関係性、社内の制度や仕組みの事 等、外的要因を引き合いにだして、改善を拒むことはよくあるケースです。

 そこでやるべき事として、一緒に今の仕事ぶりを可視化していくことです。毎日朝出社から帰社するまでの日常の活動、週ごと、月ごとの実施事項をツールを作って洗い出して書いていきます。(弊社:ビジネスリーフレットを使用して実施します)そうして、この取り組みを通じて、問題点や改善点について共通認識を持つことがスタートになります。

 ある建設業の会社では、仕事を可視化するツールを使って上司と担当者との面談を重ねていくことで、意思疎通と相互の理解が深まり、改善すべきことを整理し、優先順位を決めて取り組むことを実施しています。結果は残業時間は劇的には変わらないものの、減少傾向となっています。また、意思疎通を今までより実施した事で、仕事上のポカやミスが減り、粗利率の向上につながる効果が得られました。

 上記の取り組みには、組織として中期的な視点での未来に向けたビジョン、ミッション、業績、行動指針、戦略、人材の育成方針、目指す人材像 等をアウトプットして、社内に周知していくことが必要です。これを実現して結果を出していく事が求めらる貢献であることを認識してもらう事が必要です。

 働き方の意識を変えていくためには 、組織がこれから未来に向けて目指す姿の実現が貢献であることを内部で共有することが必要です。この事を続けていく事で働き方や業務の改善に関する様々な取り組みは進めやすくなります。

(2)頻度を決めて面談を行い、しっかりとフィードバックすること

 二つ目は、頻度を決めて面談を行い、理念、ビジョンを含めて目標や達成計画等についての達成状況について話し合いを行ってください。人事考課システムを導入されている組織は既に面談を取り入れていると思います。

 面談の間隔は、毎週が理想です。 何を話すのかを予め決めて実施しましょう。 時間は15分程度でいいです。部下の人数にもよりますが一人当たりの面談時間は現状できる範囲で確保してください。 また、これを機会に、部下だけでなく、自分自身の仕事のやり方の見直しは必要です。

 中には、毎月、四半期や半年ごとの頻度といった事例も聞きますが、意思疎通を図り、より効果的なフィードバックを行うために、更に間隔を短くすることをお勧めします。

 前項で書いたように、どうしたら会社の方針通りの事が実現できるのかを、現状の仕事で改善すべき事を話し合いをしながら、優先順位を決めて行動計画を作り、フィードバックを確実に行い、取り組みを支援していくことです。

 審査やコンサル先での面談では、経営者や役職者が年に何回か面談を実施している事をお聞きすることがあります。大体が面談の内容まで記録をとっていないので、どのように行われているのか確認できませんが、社員の現状の把握や組織内の情報の収集を主な目的として実施しているようです。

 面談を実施していない組織より、経営者と社員が1対1:One on Oneで話し合いをしている組織のほうが社内の雰囲気も良く、社員自体も明るいです。(これは自分が訪問している組織を観察しての話です。統計的な根拠はありません)面談はした方がいいという事になるかもしれませんが、何のために行うのか事前に準備をして臨む必要があります。

 面談する前に組織としてその目的をはっきりさせ、そのことを面談の際に相手に伝えることは必須です。最初は何で面談を行うのか警戒します。そして始めから本音で話すことができ、こちらが欲しい情報を提供してくれるとは思わないことです。

 例えば、上司からの指示に関してレスポンスが遅く問題となっている社員がいるとします。大抵の組織は、その人について悪い印象を持ったままになっていないでしょうか?その社員について何をどれだけ知っていますか?何でこのような行動に陥っているのか突き詰めて考えているのでしょうか?面談の勧めには、そのような事に陥らないようにすることが狙いとしてあります。

 面談を通して多少見方が変わるかもしれませんし、そうでないケースもあります。 相手は、自分が話したことについて耳を傾けてもらえるのか、自分に興味を持って向き合ってもらえるのかを見ています。一度や二度で止めずに、面談の実施方法の改善を地道に続けて、対象となる社員を理解したいという姿勢を持ち続け、サポートする機会を増やして相互理解が深まるよう、関係を少しでも良化できるようにして下さい。

 宮崎県で着ぐるみを作っている(女性が自分達の状況に応じて様々な勤務体系で働いており、 世界中から引き合いがひっきりなしの優良会社です。)会社では以前、長時間労働が常態化し、ミスが多発したり、いじめが起きたりして、組織の改革が避けられない状況になり、社員から本音を引き出そうとして面談を始めました。ご多分に漏れず中々腹を割って話しをしてくれなかった事がNHKのテレビ番組で放映されていました。

 そこで社外で食事をしたり、世間話から社員の悩みを聞いたりして、社員の意見やアイデアを組織運営に反映させ、信頼関係を徐々に作っていきました。そして、現場の工程管理を全て社員に任せることと残業を無くすことを決断し、実行に移しました。

 しばらくは混乱があったそうですが、時間内でやるべき事を終わらせようと自分達で考えるようになり、様々なアイデアを持ち寄り実践していくことで、今では残業ゼロを達成しているそうです。社員の方々も、家族との時間を増え、休息もとることで仕事にも好影響がでているとお話しされていました。

 社員が成果を上げていない、能力を発揮できていないということについて、その社員だけに原因があるという見方になりがちです。接し方、サポートの仕方や仕組み、教育訓練のプログラム 等、組織として様々な観点で改善すべきことがないのか一度振り返ることも必要です。

 一方で、面談を繰り返しても、こちらからの話しに耳を傾けず、会社の方針に反することを続けたり、組織をかき乱す等、なかなか変わらない人がいることも事実です。このコラムで述べていますが、組織の理念やビジョン等について理解してもらっているのか、そこは外さずに話し合いを続けて下さい。ただ、組織内に悪影響を及ぼし続けている場合は、降格や退職の決断をすることも止むを得ないこともあります。もちろん、その決断に至るには慎重に判断しなければいけませんが。

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