ISO45001では、リスクアセスメントを通して労働安全衛生のパフォーマンス評価を向上する運用が、成果につながる重要な取り組みとなります。そのためには、日常の業務で活用できることが欠かせません。職場で働く人々が危険な目にあわず、身体も心も安全、安心な状態を提供するためにリスクアセスメントで何をしていくのかを次の3つにまとめます。
目次
自分たちの業務を可視化し、職場の中の危険源を特定する
リスクアセスメントの実施には、組織の製品・サービスがどのよう流れで提供されているのかを明確にしていきます。まず、業務フローをもとに、特定した作業ごとに、何を使用して作業を行っているのか、又はその作業が誰と関連して行っているのかを確認し、危険な事は何かを明確にしていきます。
このように直接製品やサービスを提供する作業を行う部門であれば、何がケガや事故につながるのかを特定するのは、これまでの経験に基づけばそれほど難しいことではありません。弊社では、「リスクアセスメント」の様式を示し、「リスクアセスメントの実施手順」で実施方法とリスクの評価基準、リスク評価後の対応のやり方をまとめています。
それと「ハザード(危険源)の分類例」「危険要因/有害要因特定のためのガイドワード例」で、危険源とそれに伴うケガにつながる「危険要因」と心身に不調をもたらす「有害要因」の事例をまとめ、それぞれ業務ごとにどのケースかを選定して、どのようにして起こり得るのかを導けるようになっており、併走して実施をしています。
従業員が職場で危険な目にあうケースが何かを特定して、対応策を決める
ただ、そこでいつも議論になるのが、総務・管理系の間接部門のオフィス内でのリスクアセスメントです。上記で書きましたが、実際に現場で作業しているとどんな危険が起こるのかは比較的特定しやすいのですが、総務・管理や営業系の仕事は、IT関連の機器や装置を使用した作業が主で、ケガよりは心身の疲労や痛み及び人間関係に関連するメンタル面による不調に関する危険要因、有害要因が特定していく流れが一般的です。
組織によっては、既にハラスメントや人間関係から鬱病が発生したり、離職があったりしているところもあり、その件について何等かの対策をとっているので、リスクアセスメントをしないケースが見受けられます。
ただそこで必要なのは、その対策について従業員が危険な目にあわないために有効なのかということを評価していただくことです。以前も、相談窓口の設置や面談の実施が対応策となっていた組織がありました。そこで、その取り組みが発生を防ぐというより、インシデントの発生後の対応であることを認識していただくことから始めました。
弊社では、管理職やベテランの方々の理解や対応次第で立場の弱い従業員が危険な目にあうリスクが変わり経営に悪影響を与えかねないことと、組織として持続可能でないことを教育していく必要性について担当する部門の方々に説明をし、リスク対応策の一環として各種ハラスメントの事例からの部下への接し方に関しての教育を実施しました。
メンタル面や人間関係に関連するリスクは社会の動向、関連する法規制に注意を払う
ハラスメント系や人間関係に関するリスク(脅威)の記述については、職場での生々しい出来事を書かないといけないのかという質問があります。
そこで弊社では、ハラスメント系の動画や人間関係で起こり得る支障をきたす事例の収集、関連法規制の制定や改訂の背景等について情報収集を行っています。例えば、リスクアセスメントにおいて「上司が部下に対して、いつ、どこで、何をしてしまった」という表現でリスクを書いていただき、リスク評価を行い、その対応策の策定の支援まで併走して行っています。
この事は、弊社でまとめた「ハザード(危険源)の分類例」「危険要因/有害要因特定のためのガイドワード例」では、上記のような事例を記載して、活用できるようにしています。特に、関連する法規制やガイドラインの情報から、一番のリスクであるコンプライアンス関連のケースを取り上げて、対応策を検討する流れでの支援を行うようにしています。
リスクアセスメントは、ISO45001の認証取得に必須です。認証取得のみならず、リスクアセスメントを職場環境をより良くするために活用したいと望んでいられるのであればお気軽にご相談ください。