株式会社インフィニット 宮城県仙台市のISO・組織開発の会社 |第6回:「AIと向き合う組織を作る」 ―― 「人間中心」を柱にした持続可能な組織とAIリテラシーを育む

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第6回:「AIと向き合う組織を作る」 ―― 「人間中心」を柱にした持続可能な組織とAIリテラシーを育む

2026年6月26日AIMS

人間主体であること

 「これまでも、これからも、意思決定を下すのは人間である」 これは、私たちが決して譲ってはいけない一線です。もし意思決定の舵までAIに明け渡してしまえば、働く私たち自身の存在価値そのものが揺らいでしまうからです。

 「AI事業者ガイドライン」の基本理念の冒頭には「人間の尊厳が尊重される社会」が掲げられ、共通指針の最初にも「人間中心」という言葉があります。正直に申し上げれば、当初の私は「当たり前すぎて、欧州のAI法(EU AI Act)の真似をしただけだろう」程度にしか思っていませんでした。

 しかし、実際に生成AIを実務で使い、その圧倒的便利さを目の当たりにしたとき、私の認識は変わりました。出力されたそれらしい整然とした回答を前に、「これで良いのではないか」と、無意識のうちに「思考停止」に陥りかけている自分に気づいたのです。

 そこから、私の頭の中では、「本当にこれで良いのか?」「何かが違うのではないか?」という問いが次々と沸き上がりました。モヤモヤした違和感と様々な意見が錯綜し、気づけば却って検証に時間がかかってしまうという悪循環に直面したのです。

 「この中身で十分だし、これで終わりにしよう」という妥協の誘惑は常に頭をよぎります。しかし、「本当にこれで妥協して良いのか」という引っかかりは消えません。それが外部に提示するものであればなおさらです。

 このような葛藤は、AIを利活用する現場であれば今やどこにでも転がっている現実です。これほどの重い判断の迷いを、組織は個人の責任に任せたままでよいのでしょうか?

 人間が主体となるということは、単に方針や規定を文書化して終わる話しではありません。組織にいる全ての人々が自ら考え、認識を共有し、実践と検証を繰り返すプロセスを通して、組織の基準を常にアップデートし続ける事なのです。

「AI事業者ガイドライン」の「基本理念」と「共通指針」を理解する 

 組織としてAIとの向き合い方を考え、ガバナンスを構築するうえで、私たちが立ち戻るべき国内の標準的な物差しが「AI事業者ガイドライン」です。ここには、基本理念として次の3つが掲げられています。

「人間の尊厳が尊重される社会」

 AIを、人間の創造性や能力をより発揮させるための「道具」として位置付けることです。効率性を最優先にして意思決定をAIに依存しすぎるのではなく、私たちが「プライドを持って仕事が出来ているか」を模索し続けることが求められます。

「多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会」

 多様な背景や価値観を持つ人々を尊重し、誰もが排除されない社会を築くためのツールとしてAIを活用することです。ポジティブに捉えれば、あらゆる背景を持った方々に「新たなチャレンジの機会」を作りだし、「新たな価値の創造」を可能とする有効な手段として運用していく視点です。

「持続可能な社会」

 社会格差の解消や、地球規模の環境問題・気候変動の解決に向けたイノベーションを創出することです。新たなビジネスやソリューションを生み出し、社会に貢献するために、AIをどう有効に使いこなすかという視点が欠かせません。

 ガイドラインには、これら3つの理念を支える共通指針として、「人間中心」「安全性」「公平性」「プライバシー保護」「セキュリティ確保」「透明性」「アカウンタビリティ」「教育・リテラシー」「公正競争確保」「イノベーション」の10項目が定められています。(※各指針の詳細はまた別の機会にお伝えします。)

 これらの指針と自社の現状との「ギャップ」を話し合う場をつくることこそが、AIとの具体的な向き合い方の理解を深める第一歩となります。現状で「何が足りないか」を気にするだけでなく、自分たちは「これから何をしなければならないのか」という主体的な視点を持つことで、この対話は組織の未来を動かす確かな契機となります。

 「時間がかかり、面倒だ」と思われる方がいるのも承知しています。しかし、皆さんが担当されている業務において、大なり小なり、「生成AIとの共存」から逃げることはできません。

 次回は、このガイドラインを物差しにして、具体的にどのような話し会い(ワークショップ)を行い、何に取り組むべきなのか。持続可能な組織をつくるための具体的なアプローチを皆様と一緒に考えていきます。

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