どの企業も人材の育成は最重要課題です。折角入社した人材を一人前にするためにどう取り組めばいいのかお悩みだと思います。ISOマネジメントシステム(9001、14001、27001、45001、22000 等)においても「7.2 力量」で教育訓練に関しての要求が示されています。
弊社で、ある物流企業でISOの要求事項を踏まえつつ支援をした取り組みを紹介したいと思います。これは、ISOをやっていない企業でも使える内容です。是非ご参考にしてください。
その企業では、ある特定の人に仕事が集中してしまう事で負荷がかかっており、他の人材の育成が進まない状況に陥っていました。この状況をこのままにしておくと品質にも影響を及ぼしかねません。
そこで実施したのは、育成のフェーズを定め、スキルの可視化を通しての個人ごとの育成プランを作り、進めた事例です。
人材の育成のフェーズを明確にする
まず、最終的にどんな人材になって欲しいのかを目的として、だれが読んでも理解できる文章にしました。そしてそのような人材になっていくための5段階のフェーズを設定しました。(必ず5段階という事ではなく、その組織に応じて段階の数は決めてください)
スタートであるフェーズ1からゴールであるフェーズ5ごとにどんな状態であるべきかを短い文面で示します。(下図は今回弊社で作成した事例です。実際の作成事例ではありません)
組織によって、それぞれの作業をより効率化していくために、そして質を上げていくためには様々なスキルが要求されており、フェーズごとで何が求められているのかを従業員が理解できるようにしないといけません。
上図のように、何を目指しているのかを文面にするためにヒヤリングと修正を重ねて一緒に作っていきました。
フェーズごとのスキルを洗い出す
フェーズごとで目指す姿が明確になれば、後は、必要なスキルを出し合っていくだけです。これは話し合いを進めていけば、皆さんからそれぞれのフェーズに沿った必要なスキルがどんどん出てきます。
最終のフェーズと育成の目的は一致しないと意味がないので、そこにズレや乖離がないかは確認をしてください。
完成したら従業員ごとに現状どのフェーズにいるのかと、そのフェーズの中で習得していないスキルの有無を確認します。習得していないスキルについては個人ごとの教育訓練の計画に組み込んでいきます。
またその物流企業では、現状のフェーズの一つ上のフェーズのスキルの習得度合いを評価しながら、個々の育成のテーマを設定する事をして、 長い目でみた個人ごとの教育訓練計画を作り着実に育成を進めています。
ただ、必要なスキルを脈絡なく洗い出していくのではなく、育成のフェーズごとに明確にしたスキルの習得は、キャリアアップの可視化と育成期間の短縮にも有効です。
どのように人材を育成していくのか迷っているのであれば是非試してみてください。