これからISOのマネジメントシステムを取得するにあたって日常業務に確実に活かして成果をあげていきたいと思っている経営者の皆さんと、そして認証の取得をしやものの業務とISOのマネジメントシステムが別物になってて効果が得られていないとお悩みの経営者にお伝えします。
経営者はISOマネジメントシステムの要求事項の目的と意図を理解しよう
ISOの各マネジメントシステム要求事項にある「序文」と「適用範囲」に各マネジメントシステムの目的と意図が書かれています。
ISO9001の品質マネジメントシステムの場合です。
「1.適用範囲」では次のことが目的として書かれています。
この規格は、次の場合の品質マネジメントシステムに関する要求事項について規定する。
a) 組織が顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する能力を持つことを実証する必要がある場合。
b) 組織が品質マネジメントシステムの改善のプロセスを含むシステムの効果的な適用、並びに顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して、顧客満足の向上を目指す場合。
まず、ここを読んでこのマネジメントシステムの規格は何を目指しているのか、そしてマネジメントシステムを採用することで、どのような成果を得たいのかを読み取りますと次のようになります。
「誰が行っても顧客や法規制の要求事項を満たした製品・サービスを一貫して提供できるようにしたい、そしてそれらの要求事項を満たして製品・サービスを提供していることを実証し、顧客満足向上を目指したい。」とします。
そのためにも日常の業務にマネジメントシステムを取り込み、高い品質の製品・サービスを一貫して提供することで「継続した受注と売上、適正な利益の確保」という成果が得られることを期待してマネジメントシステムを導入します。
そしてそのために、必要な目標・指標を設定して達成のための計画を作り、成果が得られるまで取り組むのです。
高い品質の製品・サービスを一貫して提供できるようになることで顧客満足向上にもつながります。
これらの業務上で行われている当たり前の事がマネジメントシステムの運用であり、経営に必要なことです。
どうぞそのことをマネジメントシステムの規格要求事項の「序文」を読んで確認して下さい。
「序文」には、品質マネジメントシステムを採用した場合にどのような効果が期待されるかということから記載されています。
是非「序文」を読んで目的と意図を理解してください。
ISOのマネジメントシステムを中心に据えて仕事を行う事
「誰が行っても顧客や法規制の要求事項を満たした製品・サービスを一貫して提供できるようにしたい、そしてそれらの要求事項を満たして製品・サービスを提供していることを実証し、顧客満足向上を目指すこと」を目的とします。
その目的のために、御社のマネジメントシステムを仕事の中心に据えて、整備した仕組みやルールに則って仕事をします。効果的でないもしくは合理的でなければ仕組みやルールを変えていきます。
これは、「標準」を作って、仕事を進めやすくする、もっと楽に効率的に、効果的に業務を行うことになります。
まず始めにその必要性と重要性をしっかり社員に伝えて理解してもらうことが必要です。
具体的に言うと、一人一人がそれぞれのやり方で仕事をするのでなく、「標準」を作って何が正しいやり方かを組織としてはっきりさせた上で業務を行い、改善を積み重ねて、求める成果を出す事です。
しかし、現状は認証取得しても中途半端に取り組んでいる企業・組織が大半です。
規定文書は手順や方法が具体的になってなく殆ど使われていないまま、各人がそれぞれのやり方で行っていたり、話し合った事や指示したことは口頭だけで殆ど記録を残していない。ノウハウも共有されないという企業は本当に多くあります。
その大きな要因は、社員にその重要性と必要性を理解させていないことです。
組織の求める成果と指標を明確にすること
社員にマネジメントシステムの重要性や必要性を理解してもらうには、ISOのマネジメントシステムを使って、成果をはっきりさせ、設定した目標を達成するということ、すなわち結果を出すために取り組むことです。
具体的に、組織として売上、受注、利益の計画を達成するために、その指標を何故設定したのか、達成するために何をするのかを計画にまとめて説明します。
目標を達成して業績が向上すれば、貢献に応じて給与もアップします。また、それに伴い個人個人のキャリアアップという好循環も得られるということをそれぞれ実践して、実感できることが必要です。
普段から上記のことが当たり前に行われていれば、既に業務にマネジメントシステムを取り込んでいることになります。
このようにISOのマネジメントシステムは目標を達成する道具に過ぎません。ISOのマネジメントシステムの要求事項に振り回されず、御社の目標の達成に効果的なマネジメントシステムを作って下さい。(但し、顧客要求事項と法的要求事項の順守が前提であるのは言うまでもありません。)