組織を更にステップアップさせたい、又は、なかなか結果が伴わず、社員の能力を発揮させられずに組織の運営に悩まれている経営者の皆様にお伝えします。
経営者は理念について語っているか
お仕事で様々な企業を訪れます。その事務所や会議室等に企業の理念や経営方針、社是、社訓 等が掲示されています。
経営者の皆さんは、それらを従業員にしっかりと理解させているのでしょうか?
「読めばわかるから大丈夫だ」とお話しをされる方もいらっしゃいますが、果たしてどうでしょうか?
確かに、従業員の方にこの事を聞きますと、「毎日唱和しているし、わかっています」という類のお話しを大抵の方はしますね。
それでは、理念について経営者からその思いや背景を直接聞いたことがあるかというと、上記のことに比べるとかなり比率は下がってきます。(これは、確かなデータにもとづくわけでなく、あくまで私自身の経験からです)
経営者が理念にどれだけの思いを込めているかです。
企業理念や経営方針がどこからか持ってきた借り物のような言葉で作られている企業もよく見かけます。
私は、ISOの審査で、品質方針や環境方針、労働安全衛生方針がISOの規格要求事項に沿った形で作成されていることを確認します。
このこと自体は、審査の観点からは問題ないのですが、どうしても規格を踏まえての文面だと表層的できれいにまとめているなあと感じてしまいます。
ここにどれだけの思いがあって、そしてこれを本当に実現したいと思って日々従業員に語り掛けているのだろうかと感じてしまいます。
当然、企業理念を実現する取り組みは単年度だけで行うのでなく、企業が事業を続けている間は向き合っていかなければいけない最大のテーマですよね。
よくあるのは、「~をして、マネジメントシステムを継続的に改善します」、「~地域に貢献します」、「顧客満足を目指します」等のような文章ですが、継続的に改善すると謳っているのですが、改善に向けた取り組みを殆ど確認できない企業はごまんとあります。
何故、そうなるのでしょうか?
理念を実現するための組織運営の指針はありますか?
中小企業では、理念を実現するための中長期の視点を持った組織運営の指針(弊社では「フューチャーコンパス:未来への羅針盤」といっています)を作っていない企業が大半です。このことが最大の要因だと思っています。
この“未来への羅針盤”は、何年後に売上や利益をいくらにするかとか、従業員数をこれだけ増やします、又は新社屋を作ります、等というだけでなく、理念を実現するためにどのような組織になっているのかをアウトプットして、それを社内全体に浸透させることが一番の狙いです。
もう少し具体的にいいますと、時間軸を長くもって(例:5年後、10年後、もしくは50年後や100年後)、具体的にどんな組織をつくって事業を続けていくのかを示すことです。
例えば、“しっかりとコミュニケーションをとって一体感をもって組織運営をする”、もしくは“公正公平に社員を評価し、働き甲斐のある職場環境をつくる” 等、御社の理念や方針を従業員にどう理解してもらうのか、組織を運営する方針を明確にして下さい。
それが明確になると、組織創りで何を優先して整備していくのか、道筋がはっきりしてきます。
その後の展開は、次のコラムでお話しします。