ISO9001の要求事項と営業との関連と重要性について
ISO9001に営業部門がどう関わっていくのかについてお話しをしていきます。ISO9001は品質保証のマネジメントシステムであり、設計部門や生産現場、施工現場が行っていくものと思われがちですが、そんなことはありません。
ISO9001:2015の8.2項の「製品及びサービスに関する要求事項」において、顧客や製品・サービスの要求事項を明確にし、それらを組織内でレビューをして要求事項を正確に把握し受注した後に、生産や施工する部門にリリースすることが求められています。
そして顧客とのコミュニケーションについて、営業活動全般、クレームの処理、受注内容の変更への対応を含めて運用するよう求められています。
このように、営業関連の活動がいい加減で間違ったものになると、その後の工程も誤った情報に基づき製品・サービスが提供されることになり、その組織の信頼の失墜につながっていきます。
営業部門(営業担当者)は非常に重要な役割を担っています。単なる受注を増やして実績をあげるだけでなく、正確に顧客や製品・サービスの要求事項を把握し顧客からの信頼を得るための窓口にもなっています。
営業が関与するほど効果がでる
よくある話しですが、営業部門の方々はマネジメントシステムの仕組み作りからの関与については、ノルマもあり消極的な傾向があります。それは、立場を考えるとわからないことはないのですが、少なくとも営業の管理職の方は関わって損はありません。
ISO9001:2015の9.1.2顧客満足では、「組織は、顧客のニーズ及び期待が満たされている程度について、顧客がどのように受け止めているかを監視し、その情報の入手、監視及びレビューの方法を決定しなければならない。」と要求されています。
組織が、顧客から指示され持続可能な経営をしていくためには、顧客が何を求めているのか、期待しているのかを知ることは、正に上記の要求と一致しています。
上記で収集した情報は、営業だけでなく、生産や施工、サービスを提供する部門にとっても必要かつ最重要なものであり、相互に協力する要求として、7.4項のコミュニケーションに基づいた活動が顧客満足向上の土台となります。
営業部門を巻き込む
営業は結果と言いながら、その結果を出すまでどんな行動をしているのか、その有効性を図るにはどうすればよいかと思案をしているのであれば、9.1パフォーマンス評価の要求に該当しますが、営業関連のデータの収集・分析の活動をISO9001の品質マネジメントシステムに取り入れる。そしてそのデータを商品開発、市場でのシェアアップやリピーター拡大につなげる 等の施策に活かすことは顧客満足向上を通じての持続可能な組織作りと一致します。
このように生産、施工 等の現場の活動だけでは品質や顧客満足の向上には到底不十分です。更には営業活動の標準化を進める事で少数のエース級の人材に依存するのでなく、だれもが標準のレベルで情報共有と意思疎通を図ることで安定的な受注も十分可能になります。
中小企業はそうでなくとも人材の採用は大手に比べハンディを背負っています。営業の標準化は人材の育成や配属にもメリットは大きいです。
このようにISO9001に取り組む際には、売り上げだけでなく、品質保証の観点からも営業は重要な役割を果たしています。ぜひ営業を巻き込んで、効果的な品質マネジメントシステムの運用を行ってください。