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組織を創るために経営者がやるべきこと  アンケートが社員の行動を変えるきっかけをつくる

2021年4月10日ISO

 社員が持っている能力を最大限に活かして成果を出していきたい、実績の向上にむすびつけたいという中小企業に経営者の皆さんには、様々な悩みがあると思います。

社員が望んでいる事は相互理解と安心

 介護業界では、離職する理由の第2位に「法人や施設の理念とその運営に不満があった」という記事がありました。理念を掲げても、その事が浸透せずに理念に反することが組織でまかり通っていたことで、なぜ理念と整合しない指示や決定が出されるのかという矛盾が大きくなり辞めてしまったようです。
 そこには、一人一人の従業員と向き合い対話し、お互いを理解する地道な取り組みがあれば上記のような事は大抵防げたのではと思います。(対話とは:お互いを理解する為に、本音と本音の話し合いをする事で、信頼関係を築いていくこと)

 グーグルでは、社内で成果を上げているのはどのようなチームなのか、調査・分析をしたところ「他者への 心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタル面での心配りをしていたチームが成果を上げていることを突き止めました。それを「心理的安全性」と定義しました。
 いろいろなことを気にせずに何でも話しあいや相談ができるし、忌憚なく意見を出し合えるそのような安心感や時には耳の痛い事を伝え合う信頼感が持てるチームは、目的や目標の達成に一体感を持ちながら取り組む事ができます。

 どのような事をしていくとそのようなチームとなるのでしょうか。そのためには何が必要なのかを伝えていきます。

まず、何を望んでいるかを理解し、行動に変えること

 社員に今の組織風土、トップの姿勢、制度、ステップアップする仕組み 等についてアンケートを実施することお勧めします。
 経営者の姿勢に関しては、理念や方針についての説明責任やそれらに沿った実践がされているかについて、耳の痛い事も出てくるとおもいますが、それらは非常に貴重な意見であると認識すべきです。経営者に面と向かって耳の痛い話しは殆どの人はしません。
 アンケートは、匿名にしだれが何を書いたのかは追跡しないでください。ホンネの意見は出てこなくなりますので。外部に第三者に実施して評価まで任せるのも一つのやり方だと思います。

 実施後にそれらの項目を分析して、何から手を付けるのか優先順位を決める事ができます。
今迄の実施した結果から、社内の同じ部門や部門間での意思疎通や情報共有が不十分であることを指摘していた会社が数多くありました。
 何か問題が起きた時以外は、あまり深い話しをしていないのが殆どの中小企業の現状です。少ない人数で担当業務を兼務しており、そのような状況で話し合いをもつ時間や心理的な余裕がなく、経営者も目先のことに捉われがちになり、なかなかそのような機会を持つまでに至っていないのが実情です。
 アンケートで指摘があった建設業の会社では、理念や方針をどのようにして実現するかを、社内での各階層で話し合いをして、「未来への羅針盤」として、中長期の視点でこのような組織運営をする、行動の指針、営業戦略 等をまとめました。経営者と管理職で年に1回話し合いをしながら見直しています。
 まだ、そのまとめた事を社員にしっかりと周知するまでになっていませんが、一部の管理職の人達は、社内での商品研修会や営業の手法の研修、緊急時の取り組みをまとめて周知する事など、これまで実施していなかった事に取り組むようになりました。

アンケートは一過性にせず、継続して行う事が重要

 アンケートの活用は、一度きりの実施で終わるのではなく、継続させていくことです。毎年実施して項目ごとの傾向をモニタリングする事が重要です。項目ごとに良くなっているのか、却って悪くなっているのかをまとめ、どのような事を実施していくのかを決めるためのツールにして欲しいのです。

 大抵の会社では、思い立って実施するものの、「何を目的に実施したのか」、「そこからどのように展開されたのか」が見えてこない事やその時だけに実施した程度の認識しかなく、実施以降どうなったのかが立ち消えになった事例をよくみかけました。

 アンケートは、継続する事を前提にスケジュールと進捗状況を社員に開示していくことです。そして、進捗状況については、社内の何等かのコミュニケーション手段において報告事項として取り上げることを仕組み化していくことです。

 もう一つは、アンケート結果を分析して、指標を設定して行動計画を作り、社員の満足度向上のツールとしてPDCAサイクルを廻すために活用することです。

 ただ、気をつけないといけないのは、指標として残業時間の削減やノー残業デーを設定するなどです。これは多くの組織で掲げていましたが、実施できていたのがほんの一握りでした。社員にはその取り組みについて殆ど説明もなく、スローガン的なものと認識するに留まった事が大きな要因でした。

 アンケートの分析結果を社員に開示して、社員の意見を聞いてみること。もしくは、分析結果をもとに社員の話し合いの機会を作りアイディアを出しあって、自分事として取り組めるきっかけにする事もできます。
 シンプルにアンケートのある項目に焦点をあててどうしたらいいのか話し合ってみることはやってみる価値は大いにあります。

 まず、欲している事に対して何が問題でどうしたらいいのかという事を今まで話し合う機会がなかった組織は、そのよう取り組みを始めたことが大きな一歩です。話し合うには、その趣旨、目的をわかりやすく説明し、アンケートを継続していくことも話してください。また、どのようなアウトプットをだして欲しいのかを具体的に示していく必要があります。参加者の役割も明確にすることも重要です。このように初めての話し合いには準備が必要ですが、相互理解、信頼、安心の循環を作るチャンスとして取り組む事をお勧めします。
 “ローマは一日でならず”と同様で、一回や数回何かやったからといってすぐに変わりません。地道に行動を継続する事しかありません。 

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