今回のISO9001や14001の改正で、新たに「戦略を構築するプロセス」についての要求が出てきています。わざわざこのような要求事項が出てきた背景や今後の取り組みを考えていきたいと思います。これは、当然経営層に求められているところです。
ISO9001:2015の「4.1組織及びその状況の理解」では、「組織は、組織の目的及び戦略的な方向性に関連し、かつ、その品質マネジメントシステム(以下QMSとします)の意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を明確にしなければならない。」。また、「4.2利害関係者のニーズ及び期待の理解」では、「QMSに密接に関連する利害関係者とそれらの要求事項を明確にしなければならない」と要求されています。
今までのISOのマネジメントシステムの要求事項は、組織の戦略と一致してマネジメントシステムが作られているというのは当然で、上記のような要求事項をわざわざ規定する必要もないということだったと思います。ただ現実は、方針を制定し、判定可能な目標を設定して、組織内の責任と権限を決めてということ等を規格要求事項に忠実に従ってシステムを作り、組織が本来求める意図した結果を棚に上げて運用したことで求める成果を上げていくことに活用されず、審査を通していくことを優先した運用が蔓延してしまったのではと推測します。そのため、折角導入したマネジメントシステムが形骸化し組織の負担となり、本当に役にたっているのか実感できない企業が多いのではと感じます。
上記にあげた要求事項は、今後のマネジメントシステムが組織の戦略を実現していくためのシステムとなるべく、組織が抱える課題を整理し、対策をまとめていくことを求めています。規模も人数もそれなりにいる企業は中長期の計画やビジョンをまとめているところもありますが、大部分の中小企業は経営者の頭の中にあるか、経営層が会議体で話し合っているが記録にも残していないことが大半ではないかと思います。まず、この機会に頭の中にあることや、話し合ったことを何かにアウトプットして関係者で見直してみてはいかがでしょうか?次回は、そのために必要なことを述べてみたいと思います。