そんなこと当たり前でしょう!と言われることを承知で書いています。ISOマネジメントシステムの認証取得を優先するため、形は作ったものの組織にどのように浸透させ、方針や目的の実現に活用しているのかを確認しても、前回お話しをしましたクレーム0、労災0のような目標を設定とその振り返りからも有効にPDCAサイクルを廻して業績に役立っているのか疑問な運用が目につきました。
また、審査でトップにマネジメントシステムを導入しての効果をお聞きしますが、そのことを具体的に語っていただいていた方は数える程でした。今回は前回から引き続き、マネジメントシステムを見直すにあたって取り組んできたことをお伝えし、皆さんにすこしでもお役にたてればと思います。
中期、短期ごとに実現したいことを示しているか
組織の課題に向きあって、取り組まなければいけないことを取りあげていますか?このことについては、すぐに全社で取り組んでも解決できないものも多く、どうしても「クレーム0、労災0」のような掲げやすいものでお茶を濁しがちな傾向となっています。
単年度で解決するという視点ではなく、3年くらいのスパンで課題を解決するというスタンスで、今年度はどこまでやるのかというゴールを設定することをやっています。まず、3年後に実現したい姿とは何ですか?と問いかけると、答える事ができないということがいいく見かけられます。
目の前の現場を遂行することと次の受注をどうするかという短期的な目線での経営になりがちなのもわかります。もちろん、日々の受注は大切な事です。ただ、現状このままで良いのか、将来に向かって前に進むためには何が必要なのか 等、それらを話し合い、目的の目標設定と達成計画と展開しているのか、立ち止まってアウトプットをしていただいています。
それには、経営層から社員として望むことや組織としてのあるべき姿をお聞きし、「SWOT分析」や「バランススコアカード」等のフレームを活用して、組織が抱えている課題やリスクを明確にしています。
自分たちで重要な課題に向き合った目標の設定を行う
例えば、建設業ですと、経営的な目線では今いる人員で今以上の完工高や粗利を上げていくために何が必要か、一人当たりの売上額や現場ごとの粗利率の設定と同時に、上記で掲げたことを何年後かに実現するために今年度は何をするかを決めて、目標の設定を行ってもらっています。
若手社員の育成という目的であれば、例えば一人一人の特性に応じた人材育成プログラムの作成と運用、部下との面談の実施 等、すぐに効果がでなくとも、続ける必要がある取り組みを決めて、〇年後までを期限とした習得度や要求する資格の取得の設定をするなどして、定期的に実施事項のレビューを実施して、進捗を確認をして、対策を打つようにしてます。
肝になるのは、自分たちで何に取り組むのかを決めるということです。私どもは、あらかじめ答えを決めて誘導するのではなく、皆さんが話し合ったことから優先度が高いものは何か、そしてそれを実現するための具体的な指標は何かを問いかけ、過去の実績データも含めて設定の支援をしています。
しっかりと話し合いを続ける場を作る
設定した目標についてその達成のための計画を作りますが、上記で書いたように定期的にレビューをして振り返りを続けていくことは欠かせません。
これまで述べてきたことは、正しくマネジメントシステムを使っての活動です。誰かの高い意識や思い付きでの取り組みでは持続できません。それには、仕組みを作り、ルールとして文書化し、誰でも運用して再現できることが必須です。定着するまでは、経営トップが旗を振り続けていくしかありません。
中小企業では、なかなか時間を作って話し合う文化がないところが殆どです。目的のない会議やダラダラした会議はやっても意味がありませんが、関係者が集まって他者が何をしているのか、懸案事項やクレームの内容と対応を始めとした議題を一堂に会して情報を共有し、話し合うことは重要です。
既にミーティングや会議は定着しているからと思っている皆さん。本当に組織にとって最重要な課題の解決に向けたことについて深く話し合っているでしょうか?
参加者は誰で、どの階層まで参加していたのか、議題は何で、誰が何を話したのか、決まったことは何かまで議事録を作成してもらい、弊社も後で内容を確認します。
例えばこういうことがありました。建設業の会社の議事録の内容から、何を話し合い、報告されたのかのかまで書かれていたのですが、そこで何が決まり、指示されたのかまで書かれてなく、次回以降のフォローアップが出来ない中身になっていました。要するに肝心な事が書いていなかったのです。
生々しいことをそのまま書くということは抵抗があるとのことで(毛頭そこまでやって欲しいとは言っていません)、今後「誰に」、「何を」、「いつまでに実施するのか」だけ書くように要請しました。
そんな地道な事が繰り返し出来るかです。<ローマは一日にしてならず>です。