社員からもっと意見を出してもらって組織を活性化したい、様々な視点で組織を強くしていきたいという中小企業の経営者の皆さんと考えていきます。
今回は、社員が意見を出しやすくするための風土作りに必要なことを話していきたいと思います。
トップがまず姿勢を見せることから始まる。
仕事で企業にお伺いした時に、行動指針や目標に社内のコミュニケーションを活発にしていくことや改善提案を一人3件以上提出 等が掲示されていることをみかけます。
トップが朝礼で意見を出して欲しいとか、目安箱を設けて提案して欲しいと話したとしても、殆ど最初から社員がアクションを起こすことはないと思います。
ましてや今迄そのようなことが皆無であった組織は、主旨が説明されても社員は戸惑います。
どうでしょう。まず社員と直接1対1で話してみるのはいかがでしょうか?
本当に意見や提案を出して欲しいのであれば、自らが胸襟を開く姿勢がないと社員は勇気を出して行動に踏み出せません。
弊社で支援している企業の大部分は少なくとも年1回は実行して、社員の考えや悩みを聞き、また期待することを伝える双方向でのやりとりが社員に安心感を与え、定着率の向上や業績に好影響を与えています。
一度や二度で終わらせないでください。その程度の実施では変わりません。継続していくことが絶対必要です。
その積み重ねが信頼関係を築きます。トップ次第です。
特に中間管理職には、自分の思いや期待を語り、職場の悩みや意見を聴くこと
会社の理念、ビジョンの実現、目標の達成 等についてそれぞれ部門責任者を通じて浸透させていかなければならず、そのためには中間管理職の理解と、部下にも徹底してもらわなければなりません。
ただ中小企業の場合、人事考課制度を導入していないところもまだ多いため、中間管理職について、年功序列や資格取得の有無 等で任命されているところも少なくありません。
ひどい場合は、役職についている自覚もなく部下の指導もしない管理職が存在し、いろいろと矛盾を抱えているケースをよく見かけます。
これは、その管理職だけが悪いのでなく、会社側もしっかりとした説明をしていないことも問題です。
トップが交代した際に、よくこのようなことが表面化します。
上記の場合に限らず、面談を通じて役職者としての適格性を見るチャンスだと思います。
人望や能力が不足している場合、特に今回のテーマにある社員の参画について支障をきたすことが想定されます。
上司と部下の間での意思疎通があまりなく風通しがよくなければ、意見も提案もでてきません。
そのような観点からも組織の枠組みや機能について複数の視点から調査をすることで、社員が伸び伸びと業務を行う、風通しのよい風土を作るきっかけにして下さい。
ある会社では面談と調査を重ねて、役職者の配置換えや、能力と意欲のある若手を思い切って登用することで不良品の発生を半減しました。このことは、管理職にも活躍の場を与えて処遇したケースです。
社内で社員が自分の事を話し合う場を作ろう
同じ部署のメンバーとは日常業務で必要な会話は当然行っていると思います。部門内や関係者で集まって話しをするのは、クレームの発生や問題点が出てきた状況の時に多いのではないでしょうか?
普段から、社員が自分の事を語り、社内の状況を忌憚なく話す、そんな場を是非作りたいものです。
自分の周りのメンバーについても、家族の構成、好きな食べ物、得意な事、苦手な事 等を話すだけでいいのです。まずはお互いを知ること。それが最初の一歩です。
そのような事がすこしずつわかってくれば、配慮したり、思いやることも出来てきます。
必要最低限のことしか話さず、同僚のことを殆ど知らなければ、チームとして一体感もなく、自分も担当領域だけやればいいいとなれば、行き違いやミスが発生した際に、不平や不満がでて、出さなくともいいクレームや事故が起きてしまいます。
よく、“コミュニケーションをとろう”といいますが、そんな抽象的な文言を掲げるのではなく、お互いを知って、何かあっても助け合う、わからないことをそのままにしない職場にすること。
そして、ミスした人を責めるのではなく、その事が起きた背景まで掘り下げて、みんなで再発させないという認識を持って原因を特定し、対策を打てるまで、対話を重ねていくことが求められます。
対話は、お互いを理解する為に、本音と本音の話し合いをする事で、信頼関係を築いていくことをいいます。
社員がホンネで話す。それは、経営者のぶれない姿勢と実現のための具体的な行動からしか生まれません。