ISO9001の品質マネジメントシステムで、その運用をしていくために「プロセスアプローチ」の手法が要求されています。プロセスアプローチとは何なのか、そしてその効果について知りたい経営者と管理者の皆さんにお伝えします。
プロセスアプローチとは
ISO9001の2015年版の「4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス」にプロセスアプローチに関する要求事項が示されています。
ただここでは、その要求事項に沿って解説することではなく、皆さんの仕事の進め方に置き換えて話しをしていきます。
プロセスアプローチとは、一言でいえば、自分達の担当している業務において、目標を達成するためのアプローチの一つであるということです。
これは、ISOのマネジメントシステムという観点だけでなく、通常の仕事の進め方の一般的な手法でもあります。
まず、自分達の製品・サービスについて例えば「営業」、「購買」、「製造」、「検査」という業務を経て顧客に提供すると仮定します。
その際に取り上げた「営業」、「購買」、「製造」、「検査」の業務をそれぞれ一つのプロセスとして取り上げます。
① そのプロセスごとに必要な基準や重要視している指標/目標を設定します。数値化されたものが一般的です。(組織で設定したKPI:重要管理指標、法規制の規制値 等)
② その指標の達成を阻むリスクを特定し、必要な取り組みを明確にします。
③ そのプロセスを運営するための方法や目標の達成のための計画、を示した文書を作成します。(マニュアル、手順書 類、計画書 等)
④ その業務を担当する人材の力量を把握して配置します。
⑤ その業務で使用する、機械、設備等のインフラの管理を行います。
⑥ もちろん、業務を運営するために必要な資金を投入することは前提です。
⑦ 業務に従事する人達の責任、権限、役割を示して周知します。
⑧ 計画書や文書に従って運用を行いながら、頻度を決めて振り返りを行います。
⑨ 指標/目標に対しての振り返りの結果、指標や方法の変更を含めて改善に必要な取り組みを実施する。
上記の通り、それぞれの業務において設定した指標/目標の達成に必要なPDCAの手法を示したものです。
プロセスアプローチを実践するための6つの質問
御社の業務が、次のチェック項目に従って取り組んでいるのかを確認して下さい。
a) 指標・目標については、部門ごとに設定して達成するための計画を作成しているのか?
b) 自分が担当している業務にマニュアルや手順書 等の標準及び基準が整備され、それらに従って活動しているか?
c) 業務上もしくは部門ごとで役割や責任が決まって、関係者に周知されているのか?
d) 人材に対する能力の評価の実施や教育訓練のプログラムが策定され、運用が行われているのか?
e) それぞれ作成した計画には、実施したことを振り返って、それ以降何をするのかを明確にしているのか?
f) 実際に、文書の変更や指標/目標の見直し等の改善に向けた取り組みが実施され、その効果が確認されているか?
プロセスアプローチは、組織化するために必要な手法である。
上記の質問にどれだけ「はい」と答えられたでしょうか?
ISOのマネジメントシステムに取り組むということは、プロセスアプローチを行い、組織として設定した目標に対してPDCAサイクルを回しながら、スパイラルアップしていくことでないと意味がないです。
これは、継続的改善の要求がされていることもありますが、組織が進化していくために当たり前の事です。
前項の①~⑦について規定した通りに運用するだけで大丈夫ではなく、上記のe)とf)にあるように、実施したことをチェックし、改善を続けているかという組織としての能力向上を目指していることが最大のポイントです。
例えば、設定した目標が達成もしくは未達成の場合でも、何が原因でそうなったのかを解析して、次に何をしていくのか明確になっているのかという事になります。
それが、達成しても結果オーライのような感じであったり、未達成の場合も何が原因なのかはっきりしないままであったりという事であれば、それはプロセスアプローチとしては十分ではないということです。
さあ、プロセスアプローチを実践して、常に目標を達成できる持続可能な組織にしていきましょう!!