SDGsは、義務ではなくガイドライン的なものです。そして、どのようにして取り組むのかはそれぞれ団体(人)に任されています。
まず、17のゴールと169のターゲットを読んでみて、自社の事業との関連とこれからの戦略の策定、そしてその実現のためにどのような組織を創っていくのかに使っていくことがいいと思います。
弊社では、最初に取りかかる際には、事業上のイノベーション的なものを求めるのではなく、組織創りの観点で着目して進めていきます。そこで求められていることと自社の制度や仕組み、組織の文化とのギャップを社内で話し合い、認識を一致させる事から始めます。SDGsは、組織開発の観点でも有効なツールになります。これらのコラムもその観点でお伝えしていきます。
今回は、前回のから引き続き、SDGsの目標とターゲットについて、まず目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」、目標7「エネルギーをみんなにそしてグリーンに」、目標13「気候変動に具体的な対策を」を通してあらゆる業種・業態の中小企業で取り組める事を伝えていきます。
目次
ジェンダー平等の実現が組織にどのような影響を及ぼすか
目標5 ジェンダー平等を達成し、すべての女性・少女のエンパワーメントを行う
5.5 政治、経済、公共の場であらゆるレベルの意思決定において、完全で効果的な女性の参画と平等なリーダーシップの機会を確保する
5.b 女性のエンパワーメント(1人1人が、自らの意思で決定をし、状況を変革していく力を身につけること)を促進するため、実現技術、特に情報通信技術(ICT)の活用を強化する
組織内での女性の立場、女性に関わる制度や仕組みがどうなっているでしょうか。特に、組織内の意思決定にどれだけ関わっているのでしょうか。
殆どの中小企業では、あまり考えてこなかったと思います。従来の事務の業務で働いており、それ以上何かを望んでいるという事は殆ど無いのではないでしょうか。
そこで、これからの組織の戦略に女性の活躍と貢献をどう考えているのかということになります。
もちろん、本業の直接的な業務で技能レベルを上げていく事もあれば、その特性や得意な事を活かしていく事もあります。そして、いきなり直接的な業務での貢献がイメージ出来ない場合でもいろいろな事で貢献が可能になります。
SDGsは、新たな発想から前に進むことができる
女性の活躍の本丸である目標5のジェンダー平等でのICTへの取り組みは、組織内のコミュニケーションがどういうものであればいいのかを整理し、出てきた課題をもとに、解決できるICTのツールを調査、導入に至るプロセスを実施するには、性別や就業経験の長さは殆ど関係ありません。
目標4の教育に関する事も、本業の専門的知識や技能だけでない、持続可能な組織創りに必要な教育のシステムの構築と運用は性別を問いません。
今支援させていただいている企業では、全社の教育訓練の仕組みが脆弱で、殆ど部門ごとに任せている状況でした。それですと、どうしても資格の取得などの目先で取り組まなければいけないことだけになってしまい、組織としてどういう人材を育成していくのかという事が手をつけられずに課題となっていました。
それを前に進めるために人的リソースを見渡してみました。そこで今まで事務作業を主に担当していた女性社員に参画して担当してもらうことになりました。
女性にそのような取り組みを任せるという発想がなかったと思います。今までにない事でしたがこれからの組織への貢献が大きい事を説明し、取り組みが始まりました。
「任せてみる」、今まで組織になかった発想での動きが出てくる可能性を試してみませんか。
エネルギーをみんなに そしてクリーンに
目標7 すべての人々が、手ごろな価格で信頼性の高い持続可能で現代的なエネルギーを利用できるようにする
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に増やす
組織の活動における、再生可能エネルギーの使用を増やしていくためにはどうするのか、そのような電力を提供している事業者から電気を購入するのか、自社で太陽光パネルを設置していくのか、再生可能エネルギーをビジネスとするのか、電気自動車(完全な再生可能エネルギーとはいえませんが)の使用 等、様々ば選択肢があります。
実現の可能性をみる必要がありますが、太陽光以外の再生可能エネルギー、バイオマス、水力、地熱 等の発電を活用することもあり得ます。
異常気象の要因とも言われる化石燃料の使用によるCo2の排出を減らし、最終的に脱炭素を実現するために、脱炭素の必要性を理解してもらう教育の充実も含めて、中小企業が取り組む事は結構あると思います。
次は、この目標と関連して気候変動について中小企業で取り組めることもお話しをしていきます。
並行して“気候変動に具体的な対策を”に取り組もう
目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を実施する
13.1 すべての国々で、気候関連の災害や自然災害に対するレジリエントと適応力を強化する
13.3 気候変動の緩和策と適応策、影響の軽減、早期警戒に関する教育、啓発、人的能力、組織の対応能力を改善する
先程の再生可能エネルギーの有用性を伝えるだけでなく、気候変動がもたらす悪影響を始め、対応策がどのようにあって欲しいのか、周知や教育だけでなく、組織の仕組み(システム)に落とし込み、対処していく事が重要になります。
地元や社会に対して自社の製品・サービスの提供を通して何が出来るのか、自分他との組織が地域に貢献し、認知されるために何が出来るのかという観点で考えたものの、現状は気候変動の緩和に役立つことが難しい場合は次の視点で検討できないでしょうか?
目標11の「住み続けられるまちづくりを」にも該当しますが、自然災害が発生した際の貴社の対応を決めて、いつ発生しても取り組めるようにすることです。
河川の氾濫、インパクトの大きな地震の発生 等、その際に自社で地域に何が出来るのかを計画や文書にします。そして頻度を決めて訓練を行い、いつ発生しても対処できるようにすることです。
食料品や水の備蓄はもちろん、必要な衣服の提供、電力が使用できるようにするための再生可能エネルギーから蓄電池の活用 等、組織の状況に応じて実践出来る事は相当あります。
SDGsの17の目標とゴールは、自社のリソースと関連して進めるのが自然である
SDGsに取り組むには、投資の観点でどうなのか、今ある技術から応用できるものはないのか、今あるリソースから出来る事はないかと様々なアプローチが出来ます。
まず始められる実現性が高い取り組みの一つは、地域に有用な情報を発信することです。
例えば、気候変動の怖さやこの地域への影響、自社ではどんな事ができるのかをWebサイトで発信を続けることは、地域への貢献の観点で有用だと思います。反応が返ってくるようにWebサイトの内容の見直しやブログの更新は重要です。それを個人の使命感に頼るのではなく、組織としてそれらをつづけられる仕組みができるかどうかが、カギになります。